IT専門調査会社 IDC Japan 株式会社(所在地:東京都千代田区九段北1-13-5、代表取締役社長:竹内正人、Tel代表:03-3556-4760)は、国内コグニティブ/AI(人工知能)システム市場を調査し、2016年の同市場の分析と2017年~2021年の市場予測を発表しました。
IDCではコグニティブ/AIシステム市場を、自然言語処理と言語解析を使用して質問に応答し、機械学習をベースとしたリコメンデーションとディレクションを提供する技術として定義しています。同市場は、ハードウェア/ソフトウェア/サービスのテクノロジーによる分類と、ビジネスでの利用方法(ユースケース)に即した分類方法で分析しています。この分類方法は、IDCの「Worldwide Semiannual Cognitive/Artificial Intelligence(AI) Systems Spending Guide」で主要なユースケースを抽出し、適用モデルを作成しています。
上記のような市場分類にて、2016年の国内コグニティブ/AIシステム市場規模は、ユーザー支出額ベースで158億8,400万円になったと推定しています。2016年は、企業によるAI利用気運の高まりが見られましたが、効果の実証実験(Proof of Concept:POC)が多く、実際のビジネスへの適用は少数に留まりました。またユースケースでは、専門職の分析/検索をサポートする「ナレッジワーカー向けデジタルアシスタンス」や、製造業での「品質管理」などの利用方法が多かったと推定しています。
また、IDCでは2017年3月に、従業員100人以上の国内ユーザー企業500社を対象に「コグニティブ/AIシステムに対する意識調査」を行いました。この結果、全体の57.4%でAIが自社ビジネスへ何等かの影響を及ぼすと感じており、特に従業員100人~249人の中小企業が関心を寄せていることが判明しました。IDCではこの結果は、企業における人材不足対策への期待およびAIによるビジネス競争力低下への脅威によると推定しています。一方、既にAIシステムを全社/複数部門で利用しているユーザー企業は全体の9.6%に留まっており、普及には至っていない現状が判明しました。
IDCでは、2017年の同市場は、2016年までのPOCから実ビジネスへの適用が多くなり、市場は急速に成長すると予測しています。また2018年以降の同市場は、金融などでの詐欺検出/分析、全業種での自動顧客サービスなどへのAI適用が進み、2016年~2021年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は73.6%で成長し、2021年には2,501億900万円の規模になると予測しています。
「ベンダーおよびシステムインテグレーターは、来るべきコグニティブ/AIシステムのビジネス展開期に合わせて、AIの実ビジネス適用のためのコンサルティング、教師データの構築/作成支援サービスなどが必要」とIDC Japan ソフトウェア&セキュリティ/ITスペンディング グループディレクターの眞鍋 敬は分析しています。
今回の発表はIDCが発行したレポート「国内コグニティブ/AIシステム市場予測アップデート、2016年~2021年」(JPJ43160617)と「2017年 国内コグニティブ/AIシステム市場 企業ユーザー調査」(JPJ42471817)にその詳細が報告されています。前者は、国内コグニティブ/AIシステム市場のテクノロジーセグメント別/ユースケース別市場規模実績と予測などを提供しています。後者は、国内企業におけるコグニティブ/AIシステム、ロボティックプロセスオートメーション(RPA)およびボットについての利用状況や将来計画などを、IDCが2017年3月に実施したユーザー調査の結果を基に分析しています。
(※詳細については
へお問い合わせ下さい。)
<参考資料>
国内コグニティブ/AIシステム市場 ユーザー支出額予測、2016年~2021年

Source: IDC Japan, 11/2017
|